【陰キャ先生No.18】自由進度学習についての覚え書き
自由は楽しい
以前、某所の講演会に行ったときに耳にしたフレーズ
例えばホテルの朝食の話
定食が好きだという人もいるが、バイキング形式のように自由に選択することはワクワクするよね
学習に際しても同じことが言え、やらされていることより自ら学ぼうとすることのほうが頭に入りやすい
なにより自分の歩幅で学ぶことができるのが素晴らしい
はい、詰まるところ今回は「個別最適な学び」「協働的な学び」に関する話題です。
自律的な統制感は子どもたちの学びや人格にとても大きな成長をもたらします
自己選択の機会を多く作り出す、そんな授業をするための、一つの方法としてご覧下さい。
「自由進度学習」とは
中央教育審議会が2021年1月に出した答申、「令和の日本型学校教育の構築を目指して」で示された「個別最適な学び」と「協働的な学び」を実現する先行的な実践として注目されている学習スタイルの1つ。
教師の計画する内で、一人一人が課題を自己決定し、計画を立てて自分の学習速度で進め、その過程で友達と相互に作用しながら学びを深めていくといった進め方になる。
簡単な進め方
ここでは「単元内自由進度学習」と呼ばれている手法について確認していきます
字句の通り、ある単元を自由な道のりで、歩幅で、ツールで学習してゴールに辿り着く学び方です
本学習方法においては、教師が計画した枠組み「フレーム」という概念が不可欠です
自由は自由でも、無法地帯にさせないこと、ゴールに辿り着くための方向性をわかりやすくするということ。
ちょっと調べたらPDFで報告書が出てくるので割愛するが、単元内学習の授業構想について、以下のように実践方法をまとめられている。
①ガイダンス(単元全体の目標や流れなどの見通しを子どもがもつ段階)
②計画(教師が用意する「学習の手引き」を参考に、自分で計画を立てる段階)
③追究(問いに対して追究を進める段階)
④まとめ(学習内容と学習方法を振り返る段階)
これらを明示化することにより、各自がゴールへ向かう方法を考えながら学びを進めることができる
いわゆるルーブリック的な進行表を用意しておくと、学びのチェックポイントとなって学び漏れがなくなるだろう。
難しく考えなくても、以下を1枚の表にまとめると意外となんとかなる
①単元内の1時間あたりのめあて全部
②チェック欄
③ヒントとなる教科書の該当ページ
これに加えて、理解度がわかるような業者プリントをチェック用テストとして位置付けて用いてもよいだろう
大きくズレないように、遂行コントロールをしておくことも大切です
学びのツールについて
何を使って学ぶかということも留意したい。
2000年代にもじつは話題に上がっていたらしい「個別最適」
これは時代に即していなかったため廃れたということ
では今の時代に盛り返してきたのはなぜか
そう、AIの台頭です
いわゆるAI系のドリルやネット媒体を用いた学びが割とメジャーになってきた時代だからこそ、より個別の学びが実施しやすくなってきたといえます
つまり
タブレットやパソコンをうまく使えるようになれば学びの質を高められる
ということがいいたいわけですな
ただ使えば良いわけではなく、できることを明確にすることで、効果的な使い方ができるようになる
理想はノートや鉛筆のような、学びに用いる筆記用具の延長線にあるツールとして使えるとよいかと思います。
タブレットやPCを使ってできること
ざっとあげてみよう
①ノートの役割(スライド等にまとめる)
②筆記用具の役割(キーボード入力、手書き、音声入力)
③ドリルの役割(AIドリル、教科書会社や著作権フリーのプリント精製)
④教具の役割(テレビ等に拡大表示、図形を描く、アプリ等の活用による視覚的理解)
⑤記録媒体の役割(具体的な状況を写真で残す、動画で動きを残す、学びの足跡を記録する)
これらを意識して活用すれば、教師の仕事は格段に減ります
つまり負担軽減、ひいては業務改善にもつながります
でも、自由進度学習って難しいんでしょ?
いいえ、そんなことありません
とりあえずまずはお試しから初めてみましょう
①お試し実践「朝学習」
国語系、算数/数学系、その他系 といったかんじに大まか種目に分けましょう
次にドリルやプリント等の取り組める素材(メニュー)を用意しましょう
そこまでできたら朝学習の時間になるまえに、何に取り組むかを決めさせましょう
この時、一週間の内に各種目1回ずつは必ず取り組むというルールを周知しておきましょう
これも一つの選択した学習と言えるでしょう
②お試し実践「1授業内自由進度学習」
単元を通して自由にするのは怖い…
なら1時間からやってみましょう
簡単に言えば1授業を準備する+解き方を用意する、これだけで実施できます
詳しくするならば…
・目的(何のため)、課題(何を学ぶ)、評価基準(教師がどこを見ているか)、ゴール(終着点)を決める
・学び方、学ぶ相手、学びに割く時間を選択させる→学びの調整
いわゆる、学びの視点の共有をすることが肝要です
個別最適の学びの実践例がYouTubeにありますので、こちらも大変参考になります
https://youtu.be/CyKzRjUrh6Y?si=oJb950ts1kzL0phU
教科書に何がかいてあるかを探らざるを得ない状況を作り、自分ごととする、という進行ができれば様々な局面において応用することができるでしょう
ちなみに、
・一人で学ぶ
・グループで学ぶ
・先生と学ぶ
といった選択肢があるとなおよいですね
もちろん、途中で学ぶ相手を変える「複線型」と呼ばれる手法も取り入れられると素晴らしい
※複線型…文科省がまとめているのでそちらを見てください
やってみよう、自由進度学習
とりあえずやってみましょう
当然最初からうまくいくわけはないでしょう
トライアンドエラーは悪いことではありません
これは子どもの学びにも言えます
時には学びの後退もあるでしょう
ですが、「失敗もまた学び」であることを教師側が忘れないことはとても大切です
心の余裕を持って、時には後退しつつ前進していきましょう
おわり